のり弁食べたら書くブログ
のり弁の食レポに特化した世界で唯一(たぶん)のブログです
京都太秦穂久杉の「太秦のり弁」を食べた。
京都方面への出張時に駅の売店で買い求めた。定価税込870円。熱量813キロカロリー。製造者は京都市左京区にある株式会社はやし(穂久杉太秦本店)。この京都の穂久杉という会社は、駅弁のほか、時代劇撮影所のロケ弁なども手掛けている弁当専門店なのだという。すべてのおかずがご飯の上に載る一体型で、添付調味料はなし。おかずの種類は、白身魚フライ、ちくわ天、きんぴら、焼き鮭、卵焼き、蓬(よもぎ)麩田楽、柴漬けごま油炒め。そしてご飯の下にはおかかという内容。包み紙はなんとなくレトロ風、お手拭きのパッケージも「京都→穂久杉」というキップのデザインになっているなど旅情を感じさせてくれるところが好感触……と思いながらの実食。白身魚フライは、小ぶりだが身は詰まっていて、薄味のタルタルソースの味とよく合う。ちくわ天は、青海苔もなにもなく、さっぱりというより無味。味気ないので醤油をかけたかった。きんぴらは、輪切りになったレンコンが2枚。唐辛子が効いていて箸休めになる(柴漬けごま油炒めも、この弁当の中では濃い味で同様)。焼き鮭はこのランクの駅弁にしてはかなり立派なもの。ただし、骨が多いのには閉口した。卵焼きは薄味で関西風。そして弁当の具材としては出色ともいえる蓬麩田楽。甘めの味噌がどことなく和菓子を感じさせる風情、まさに京のおばんざいという感じで楽しかった。一方、ご飯のほうは「瀬戸内産海苔使用」とのことで、かなりしっかりした海苔と甘辛く煮たおかかが絶妙なハーモニーを醸し出していて最後まで飽きずに食すことができた。というわけでの総合評価は7点(10点満点中)。駅弁という限られた条件において、できるかぎりのギミックを入れてきた風情ののり弁。高価な駅弁が多いなか、900円を切る価格でリリースしている点もよかったと思う。
同店は東京駅改札内にある自然派志向の魚惣菜・焼魚弁当専門ショップ。新幹線車内での飲食用として多くの人に利用されているお店のようだ。定価税込1080円、熱量613キロカロリー。おかずとご飯が分かれた位置にあるセパレートタイプで、製造者は株式会社藤兵衛。添付調味料はなし。「お弁当・お惣菜大賞2019」のお弁当部門で最優秀賞を受賞したというだけあって、とにかくもうこだわりがすごい。にんべんの「本枯鰹節」、山形屋海苔店の「青とび焼海苔」、味の浜藤の「紅鮭塩焼」といった老舗の素材を使用しているほか、添加物がほとんど入っておらず、合成保存料、合成着色料、化学調味料ももちろん不使用。まさに「究極」を謳うのり弁だ。おかずのラインナップは、紅鮭塩焼(購入時、あっさり味の背の部分か、こってり味の腹の部分かを選ぶことができたので、腹の部分を選択)、きんぴら、煮物(人参、里芋、フキ、コンニャク)、揚げ蒲鉾、卵焼き、ひじき当座煮。下半分のご飯スペースは横に長い漆黒の一枚海苔、その下におかかという構成。自ら「おいしい」というフレーズを弁当名につけてハードルをあげているのり弁にかなり期待しつつの実食。自信作だと思われる焼鮭は、ずいぶんと脂がのっていて冷めていても美味い。「魚専門店の鮭の味」という感じ。きんぴらは、ゴボウはシャキシャキで人参は柔らかく、そのコントラストがよい食感につながっている。煮物は、かなり上品な味で、どの具材にも味が中心まで染みている。揚げ蒲鉾も上品なテイストで、どこか懐かしさを感じるもの。カボチャも入っている?ような気がしたが、馬鹿舌のため断言できず。卵焼きは、しっとりしていて出汁の味強め。これも上品。ひじき当座煮は、この弁当の中では唯一濃い味。人参のほかに大きな豆も入っていた(ちなみに聞きなれない「当座煮」とは、 具材を醤油や砂糖、みりん等で味付けして煮る煮物の一種らしい)。 一方、ご飯のほうは、山形屋の海苔がやはり圧倒的な存在感で、海苔本来が持っている磯の香りが全開! よい海苔すぎてなかなか破れず、食べづらいという欠点はあったが、それを補って余りある素晴らしさであるといえた。さて、以上を踏まえての総合評価は6点(10点満点中)。確かにすべてが美味いが、美味いものばかりが集まっているせいで全体が平坦というか、ややメリハリを欠いたものになってる。それとのり弁として考えると、すべてが上品すぎて食べごたえというものがなさすぎる。結果、身体にいいものを食べたという食後感しかなかったのが残念。1000円オーバーののり弁であるならば、もっと突き抜けた「なにか」がほしかった。
駅以外の店舗でも売っているのかは不明だが、東京駅構内の弁当売り場で崎陽軒のシウマイ弁当と並べて販売されていたので、本ブログのカテゴリーは「駅弁」としておく。定価税抜999円。熱量1043キロカロリー。製造者は井筒まい泉株式会社(東京都渋谷区)。ご飯とおかずが分かれた位置にあるセパレートタイプで、添付調味料はとんかつソースとタルタルソースの2種。税込で1000円オーバーするのり弁だけに、おかずの内容はかなり豪華。エビフライ、豚ヒレカツ、エビクリームコロッケ、焼き鮭、味付茹で卵、サツマイモの煮つけ、切り干し大根、大根の桜漬け。ご飯のほうは、海苔+おかか、という布陣。実食してみると、揚げ物類は、さすがまい泉ブランドだけあってどれもクオリティが高く、特に豚ヒレカツは肉厚があるのにパサついていなくて、ジューシーで美味。エビクリームコロッケにはちゃんと固形のエビまで入っていた。焼き鮭と味付茹で卵も普通の弁当のレベルを超えている(おそらく素材がいいのだろう)。揚げ物とのバランスを考えているのか、サツマイモの煮つけ、切り干し大根といった和風の品を脇に添えているのも好印象。但し、こうしたおかずの豪華さに引きずられ、「のり弁」としての印象が薄かったのが、のり弁ファンとしてはやや残念であった。評価は7点(10点満点中)。
「マツコの知らない世界」でも紹介され、「日本一旨いのり弁」と称賛する人もいるという駅弁を東京駅構内でようやくゲット。定価税込980円。熱量は記載なし。製造者は福島県郡山市の株式会社福豆屋(大正13年創業の駅弁屋だとか)。ご飯とおかずが分かれた位置にあるセパレートタイプで、おかずサイドのラインナップは、焼鮭、卵焼き、きんぴら、煮物(えびいも、人参)、かまぼこ、漬け物(赤カブ漬け)の6種。ご飯サイドは、大量のおかかが敷きつめられた上に名刺サイズの海苔が2枚、中央に小さな梅干しという構成。過不足なくレイアウトされた見た目の美しさに感心しながらの実食。焼鮭は、ほどよい塩辛さと脂のノリで冷めていても硬くないのが素晴らしい。卵焼きは、かなり縦長でボリューム感のあるもの。出汁で食べさせるタイプで、甘すぎなくて美味い。きんぴらは、太目に切られたゴボウが4本。シャキシャキとした食感が楽しい。煮物は、濃いめの味付けでザ・駅弁のおかずという感じ。で、こうした個性派ぞろいのおかずの中で、かまぼこと漬け物は非常によい箸休めの役割となっている。弁当としてよく計算されている感がある。一方、ご飯サイドは、箸を深く入れてみると、なんと海苔が二段重ねになっていて驚かされた。しかも二段目の海苔の下には大量の昆布が存在していることにも驚嘆(しかもその昆布はしそ風味!)。当初のり弁に980円は高いと思ったのが、おかずのトータルバランスとクオリティの高さ、そして、手の込んだ二段ご飯のギミック性を考えると、決して高額とはいえない。というか、同じ程度の値段の幕の内弁当を買うくらいなら、こっちのほうが断然おすすめ。評価は9点(10点満点中)。今回は家に持ち帰って食べたが、いつかこれを買って鉄道の旅に出かけてみたい。